監督:ウェイン・ワン
公開:2006年
アメリカ、ルイジアナ州ニューオリンズのデパートで調理器具の販売員として働く独身一人暮らしの女性主人公は、慎ましく生活しながらも自分の夢を詰め込んだ「憧れファイル」を作っている。そんな主人公がある日突然3ヶ月の余命宣告を受け、「憧れファイル」を現実にすべくチェコへ旅立つ。
クリスマスが近づく芯から冷えるような寒い日に、雪降る映像はわたしの気持ちを高ぶらせた。余命3ヶ月を宣告された主人公の振り切った行動はとても気持ちのいいものだった。多くの人が密かに望んでいながらできないことをやっていくことができるその状況に、羨ましささえ感じた。お金や将来の不安に縛られない生き方。
クリスマスシーズンにヨーロッパ旅行をすること。エコノミークラスではない上位クラスの座席で飛行機に乗ること。長蛇のタクシー乗り場に並ばずにホテルまでヘリコプターで行くこと。憧れの料理を思う存分食べること。憧れの人に会うこと。周りに忖度せずに自分の正義を主張すること。
この主人公も余命を宣告されなければこんな大胆な事はできなかった。変化を起こす、行動を起こすというのはそれくらい大きなことなのだと思う。
わたし自身、今年は体調不良の1年だった。それ故、将来への不安が大きかった。しかしそのおかげで小さな幸せを噛みしめることができた。家族や友達のありがたさが身に沁みた。この世の中で働くすべての人に感謝と尊敬の念が芽生えた。自然の美しさに感動しっぱなしだった。こんなやさしい世界があったんだと思えた。大切にしなければいけないこと、大切にしたいことが前よりはっきりした。
人生は予定通りにはいかない。思ってもいないことが起きる。でもだからこそ気付けること、変えられることもある。人生の転機にもなりうる。主人公の女性に自分を重ねながらこの映画を観ていたのかもしれない。
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