著者:東野圭吾
『ラプラスの魔女』に続いて出版されたシリーズ2作目。1作目の前日譚。ひとりの男性を中心に、『ラプラスの魔女』のキーパーソンである少女が登場して展開される4つの物語。そして少しずつ『ラプラスの魔女』に続く形で綴られる物語たち。合計5つの物語がこの本には収められている。
1つの物語が読み切りの内容になっているし、キーパーソンの少女についても1作目でどのような人物か知っていたので、重たいテーマの物語はあれどサクサクと読み進められた。
それぞれの物語がおもしろかった。人生の岐路に立っている人物に違う視点からアドバイスをぶん投げる少女。たとえ事実と違っていようとも人の思い込みに対するちからの大きさを、良くも悪くも伝えてくれる物語。
人は感情があるからややこしい。一方で感情があるから助けられる。事実と感情を切り離して考えを整理することで見えてくる景色、またそのときに出会う人や環境。いろいろなことが人生を決める要素となる。
どのような背景と情報を持ってどの立場からみるか。これによって物事の捉え方が変わることを教えてくれる物語であった。
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