レース当日。ベッドから出てまず朝食のためのお湯を沸かす。できるだけ早く食べて消化しておきたい。レースは5時スタート。42.195キロを走るのは初めて。レース3時間前に一体どれだけどんなものを食べておけばいいか悩んだ末にカップうどんと豆大福をチョイス。
大会公式ではドリンクしか出ず(結局レース後半でパウチゼリーも提供されていたがわたしが事前に確認できた情報ではドリンクだけだった)、ボランティアで出ている食べ物はどんなものがどれだけあるかわからない。わたしが走る時間帯にはないかもしれない。お腹が空いてエネルギー切れになって走れなかったらどうしよう。練習時にレースを想定して補給食やドリンクを持って走っていたが、その量で足りるのか不安に襲われる。だからと言って沢山持って走って疲れを加速させるのも怖い。
結局練習通り500mlのペットボトルスポーツドリンク1本を手に持って走り、ウエストポーチのドリンクホルダーにパウチのアミノ酸ゼリーを入れ、ファスナー付き部分に塩タブレット6個(6時間台ではゴール、1時間に1個舐める計算)、チョコレート数個、羊羹、応援に頂いたパイン飴とDAKARA飴と梅干しと水に溶かす顆粒状アミノ酸を投入。顆粒状アミノ酸はペットボトルが空になった時に水を入れて溶かそうという算段。トイレの紙が切れている場合があるためティッシュペーパーを持参した方がいいとのアドバイスがありそれも追加。ホテルのカードキーはタイツのポケットへ。
4時に一緒に参加している仲間たちとロビー集合、スタート地点を目指して歩く。途中でこの日のために設置されている簡易トイレに並び、ホテルから30分ほど歩いてスタート地点に到着。写真を撮ったりストレッチをしたり大会関係者のスピーチを聞いたりしているうちにまずは車椅子部門がスタート。その少し後にスタートとなり花火が上がる。
ハーフマラソンのスタート時は人の流れに乗る形でゆっくり目のペースでスタートし、それが徐々に体を慣らして長距離を走るのによかったのだろうと考えていたため、今回もハーフマラソンの時と同じくらいのペースで走り始める予定だったにも関わらず、人の流れに乗って走って気付くとキロ当たり30秒も早いペースで走っていた。このままでは最後まで持たないかもしれない、と少しずつ軌道修正するもすぐに頭痛が発生。
そういえば昨夜寝る時に結構ひどい頭痛がしていたことを思い出す。頭痛はよく仕事中不定期に突然やってくることがあるけれど、寝る前は初めてだったので驚いたがまさかレース中に再発するとは。。。辛い。痛みが引かない。でもまだ5キロも走っていない。こんな距離で歩いていたらゴールできる気がしない。10キロまでは走り続けよう。そう思いなんとか13キロまで走り続けたものの痛みに耐えられず歩くことを選択。無念。30キロ走の時でさえ給水時以外止まらなかったのに。
どんどん抜かされていく。しかしただひたすら歩き続ける。どこで走り始めようか。ホノルルの日差しは強い。日が出る前に出来るだけ前に進んでおきたい。というわけで14キロからは走って歩いてを繰り返す。そうこうしているうちに参加仲間を発見。いいペースで走ってくれている。ひっそり後ろについて走る。
空が明るくなってきたと同時に頭痛が引いてきた。かなり走るのが楽になったので、後ろをつかせてもらっていた参加仲間を追い越す。
それからは葛藤の時間と無の時間の繰り返し。ハーフマラソンの時は余裕を持ってゴールできたのに、今回は21キロ時点でかなり辛い。少し歩く。
そんな時、日本からフルマラソン友が応援のメッセージをくれた。これが力になり再び走り出す。このあと、フルマラソン友は計測地点通過のたびに応援メッセージをくれた。がんばらねばと思えた。それもあってか、走っているとふっと体が軽くなる瞬間が訪れ、その時は思ったより力強く走れる。最初は水を飲むのも辛く感じていたが、この頃から水分補給で生き返る感覚を取り戻せた。ハーフマラソンで感じていた感覚。いい兆候。その感覚をできるだけ感じ取るようにしてあとは無。できるだけ辛い感覚はシャットアウト。
30キロ地点を過ぎても辛さとペースはこれまでとさほど変わらなかった。タイムを見て5時間が切れるかもしれないと思った。残り1時間半以上ある。それからは5時間以内にゴールすることを目標にペース配分を考えながら走った。30キロ後半地点だろうか、坂がある。なかなか辛い。でもここまで来たらゴールまであと少し。自分の体に鞭打って耐える。あと少し。
しかしここから先が長かった。残り3キロほどとなった時、急に脚が思うように動かなくなった。ちょっと余裕があると思えた5時間以内のゴールが危うく感じられた。走れない。どうやって走ったらいいかわからない。でもここで諦めて5時間を少しオーバーしてしまったらとても後悔するだろう。それだけがモチベーションとなりなんとか脚を動かし続けた。
さらに最後の1キロは沿道の応援もあってか歩いている人がおらず走らざるを得なかった、というのが正直なところ。おかげでそのままゴールまで辿り着いた。5時間を切れた。やった。じんわりとした達成感。ゴールしたという安堵。
こうして長かった初マラソン挑戦の日々が終わりを迎えた。
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